草の根無償資金協力プロジェクト署名式
(雲南省大理州洱源県右所鎮右所村公衆衛生計画)

 

 2013年3月21日、日本国政府の草の根・人間の安全保障無償資金協力案件である「雲南省大理州洱源県右所鎮右所村公衆衛生計画」の資金贈与契約(G/C)署名式が雲南省昆明市で行われ、周学文・雲南省商務庁副庁長ほか雲南省側のプロジェクト関係者出席の下、日本政府を代表して当館の光岡英行・総領事が、プロジェクトの被供与団体とG/Cに署名しました。

 

   
署名式の様子
署名の記念写真

 

「雲南省大理州洱源県右所鎮右所村公衆衛生計画」

 本計画は、雲南省大理州洱源県右所鎮右所村の上水道を整備するプロジェクトです。このプロジェクトに対し、日本国政府は草の根無償資金協力によって整備資金114,476米ドル(約69.8万人民元相当)の供与を決定しました。
 雲南省西北部に位置する洱源県は、有名な洱海高原の発祥地です。同県は亜熱帯高原気候地域であり、季節が乾期と雨期に明確に分かれており、日照が豊かな地域です。同地域住民の約70%を少数民族が占めています。同県は住民の多くが農業に従事していますが、山間部に属していることもあり、農作物生産量は多くありません。近年では、旱魃の発生によって水が枯渇し、毎年10月から5月まで、生活用水および生産用水が確保できない状況が続いており、旱魃による被害が住民の生活向上の著しい障害となっています。また、農村部の住民の平均年収は4,116元と低く、同県は国家級貧困県に指定されています。
 同県右所鎮右所村は鎮政府所在地でもありますが、昨今、水質の悪化に起因する住血吸虫症が頻発し、住血吸虫症防止への対応を迫られており、衛生的な飲用水の確保は住血吸虫症の防止に必要不可欠です。現在、右所村には浄水所があり同村を流れる河川の水を利用して飲用水をまかなっていますが、近年同河川の上流地域における水質汚染により飲用水としての水質基準を大幅に超過し、安全な飲用水の確保が困難となっており、村民の健康を脅かしています。このような背景から、住民の健康を守るため、現有の浄水所及び水源の使用を停止し、衛生的な飲用水を近隣の浄水所から引くことを計画しています。

 

 
村の様子
水道管(半分はゴム製)
現在の水源(村を流れる川)
水質の問題を訴える村民

 

 本件プロジェクトが実施されれば、右所鎮右所村の住民4,100人余りの飲用水をめぐる困難が解決されます。また、安定的に生活用水や農業用水が供給されることにより、住民の生活・健康水準の向上や同地区全体の経済的・社会的発展が期待できます。
 当館は、このプロジェクトが早期に完成し、住民の方々がその効果を十分に享受できることを願っています。また、今回の草の根無償資金協力を通じて、日本と雲南省の交流および協力関係が更に密接になり、日中両国民の友好関係が一層促進されることを期待しています。
(了)