草の根無償資金協力署名式
(雲南省双江県清平小学校建設プロジェクト)
(雲南省漾濞県瓦廠郷飲用水設備建設プロジェクト)

 

 2月19日、草の根・人間の安全保障無償資金協力案件「雲南省双江県清平小学校建設プロジェクト」及び「雲南省漾濞県瓦廠郷飲用水設備建設プロジェクト」の贈与契約署名式が昆明市で行われました。署名式では李文氷雲南省発展改革委員会副主任及び李嵘商務庁副庁長の同席の下、当館の冨田昌宏総領事と何余慶双江県常務副県長、蔡雲輝漾濞県政府調研員がそれぞれG/C(贈与契約)への署名を行いました。

 

贈与契約書への署名
冨田総領事の挨拶

 

「雲南省双江県清平小学校建設プロジェクト」とは

 本プロジェクトは、日本国政府の無償資金協力により、双江県において新たに2階建ての清平小学校の校舎、学生食堂、宿舎を建設する計画に対して、必要な資金83,557米ドルを供与するプロジェクトです。

 

「プロジェクト実施の背景」

 双江県は雲南省南西部に位置する国家級貧困県です。同県における農民1人当たりの平均純収入は1,106元、本件プロジェクトサイトにおける現地農民平均純収入は769元と非常に少ないです。清平小学校は、同県の南東部に位置し、県政府所在地から46キロ離れています。1980年代に建築された校舎、宿舎、食堂は、1988年に発生した大地震により屋根と壁は変形し、自然崩壊の可能性もあるD級危険家屋に指定されています。現在、同小学校の児童数は132人です。小学校に入りきらない他の140人の児童は、周辺の臨時の教育施設での勉強を強いられていますが、県政府は財政赤字のため教育機関に投入できる経費は少ないため、独力による教育条件の改善は困難な状態です。

 

清平小学校の校門
教室の様子

 

 本プロジェクトの実施により清平小学校における現在の児童数132人の教育条件改善と、小学校に入りきらないため、周辺の臨時教育施設での勉強を強いられていた140人の児童が新しい清平小学校で安全かつ設備の整った環境で学ぶことができるようになります。また、毎年必要であった、校舎修繕費3万元を節約することができ、その分をより質の高い学校運営に充てることができるようになります。

 

冨田総領事と蔡雲輝漾濞県政府調研員が握手
署名を祝し乾杯

 

「雲南省漾濞県瓦廠郷飲用水設備建設プロジェクト」とは

 本プロジェクトは、日本国政府の無償資金協力により、漾濞県において、安全な飲用水の確保が困難である現状を解決するために、飲用水設備を建設する計画に対して、必要な資金83,783米ドルを供与するプロジェクトです。

 

「プロジェクト実施の背景」

 漾濞県は、雲南省西部にある大理州中部に位置する国家級貧困県です。自然環境は劣悪で、県内の98.4%は山間部からなり、山地、少数民族地域、貧困が一体となった典型的な県です。プロジェクト所在地である瓦廠郷は、漾濞県の南に位置し、総人口の93%が少数民族です。郷内に74ある村のうち清潔な飲用水があるのは5つの村、874人(郷総人口の9%)のみで、91%の人々が安全基準に満たない水を飲んでいます。多くの村人は、溜めた雨水、水溜りなどの不衛生な水を飲んでいるため、感染症などの疾病に悩まされています。さらに、日照時間が長く、年間降水量が約800mmと少ないため、住民の生活や農業に支障をきたしてきました。また、水汲みのために山に登ったり、数少ない井戸の水をお互いに譲り合って使用したりしなければならず、住人にとって大きな負担となっています。

 

木の下に一つ井戸があり、村民がそこへ水を汲みに行く
雨水をためられる貯水池

 

 本プロジェクトの実施により瓦廠郷の住民計4,378人、6,132頭の家畜の飲用水が確保され、生活条件が向上します。水質の改善により、村人の疾病発症率が低下します。また、現地の農業・牧畜業などにも寄与することが見込まれ、経済的な効果も期待されます。

 

 当館は、この2件のプロジェクトが早期に完成し、この地域における社会的発展と生活水準・福利の向上に貢献し、住民の方々がその効果を享受できることを願っています。また、今回の草の根無償資金協力を通して、日本と雲南省の交流および協力関係が更に密接になり、日中両国民の友好関係が一層促進されることを期待しています。