円借款事業「環境モデル都市事業(重慶)」
「頭塘ガス貯蔵ステーション」第一期工事竣工式2006年1月18日、1999~2000年度円借款事業「環境モデル都市事業(重慶)」の一部である「頭塘ガス貯蔵ステーション」の第一期完成式典が、重慶市で開催され、冨田昌宏・在重慶日本国総領事、小中鉄雄・JBIC(国際協力銀行)北京駐在員事務所副所長、黄奇帆・重慶市常務副市長、浦自慶・重慶燃気集団董事長(会長)、その他各関係者が出席しました。
「頭塘ガス貯蔵ステーション」の第一期完成式典 冨田昌宏・在重慶日本国総領事の挨拶 黄奇帆・重慶市常務副市長の挨拶
「環境モデル都市事業」とは
日中環境開発モデル都市構想は、中国で深刻化する環境汚染への対策支援として、97年の日中首脳会談(※1)で提起されました。重慶市、貴州省貴陽市及び遼寧省大連市の3都市がモデル都市に選定され、計159億9,300万円の円借款が供与されたほか、日中両国による専門家委員会の設置、JICA(国際協力機構)による研修の実施等、ソフト面での支援も積極的に行われています。これらの都市において集中的な環境対策を行い、成功例を他の都市へ普及させることが目的となっています。
円借款による「頭塘ガス貯蔵ステーション」建設
重慶市では、環境モデル都市事業として、6つのプロジェクト(※2)が専門家委員会より提言されています。今回の「頭塘ガス貯蔵ステーション」建設は、その一環として、ガス貯蔵タンク、ガスパイプライン、ガス輸送自動制御・モニタリング設備を整備するもの(※3)です。今回の式典は、ガス貯蔵タンク(容量10,00㎥)2基が完成し稼動したことを受けて行われました。同ステーションが完成すると、中国西部地区都市における最大のガス貯蔵ステーションとなります。
今回完成した二つのガス貯蔵タンク 人と比べると大きさがよく分かります 視察風景
プロジェクトの意義
重慶市は、山に囲まれた盆地という地勢のため、大気の流動性が低く、また石炭に依存したエネルギー構造、重化学工業中心の産業構造などから、大気汚染が非常に深刻な問題となっています。市では2000年度より、クリーンエネルギーキャンペーンを行っており、「煤改气(石炭からガスへ)」を合言葉に、石炭から石油・ガス・電気へと、燃料資源の移転を図ってきました。しかし、約3,150万人の人口を抱える重慶市の中心部では、ガススタンドに行列ができたり、食事時には各家庭でガスを使用する為に、ガスの圧力が急速に下がり、一時使用不能になる等、様々な問題も表面化していました。
今回のガス貯蔵タンク建設により、約67万戸が一斉にガスを使用するに相当するガス量が確保されることとなります。地元メディアでは、「一日三食、安心してガスを使って下さい(※4)」、「タクシードライバーの行列時間が半分に(※5)」などの見出しで報道され、現地における必要性の高さが覗えます。今後このプロジェクトが、中国における持続可能な発展を支援する一助として高く評価され、地元住民の生活に大きく寄与することを希望します。※1 橋本総理大臣-李鵬総理(当時)。
※2 残り5件は、発電所脱硫、製鉄工場コークス炉脱硫、モニタリングシステム、硫酸カリウム生産、天然ガス自動車。
※3 円借款は貯蔵タンク、ガス輸送自動制御・モニタリング設備に対して供与。
※4 重慶晩報2006年1月19日、第4面。
※5 重慶晨報2006年1月19日、第7面。
(了)