中国における新型インフルエンザの感染確認(第8~11例目)について
(新型インフルエンザ関連情報NO.16)
2009年5月25日
在重慶日本国総領事館
1.5月24日及び25日、中国衛生部は、北京市、福建省、浙江省、上海市にて新たに各1名の新型インフルエンザ感染者が確認されたと発表しました。中国での感染確定者は、これで四川省1名、山東省1名、広東省1名、福建省1名、浙江省1名、上海市1名、北京市5名の計11名となりました。
(1)福建省の感染例(中国第8例目)
(ア) 患者は女児、1歳(2007年8月生まれ)。福建省福州市長楽市在住。患者は、家族とともに、5月19日午前10時(現地時間)にニューヨークを出発(CX841)、20日午後2時香港に到着しました。同空港にて3時間滞在後、航空機(KA662)に乗り換えて、同日午後6時30分福州長楽国際空港に到着しました。その後、家族とともに、タクシー(運転手は特定済み)にて長楽市の自宅に戻りました。
(イ) 5月21日午前8時、発熱と急性呼吸器感染症状を呈し、当地衛生院にて体温を測ったところ39度であったため、直ちに福州市長楽市病院に搬送されて隔離治療を受けました。同病院入院時の体温は37.3度でした。福州市衛生部門が患者のサンプルを検査したところ、結果は新型インフルエンザ(H1N1)ウィルス陽性であったため感染疑い例とされていましたが、23日、中国疾病予防コントロールセンターの再検査でも陽性が確認されて確定病例と診断されました。(ウ)患者は23日早朝、福州市肺科病院に転院し隔離病室にて治療を受けており、体温は37.5度、咳、鼻水症状がありますが病状は穏やかで体温は正常とのことです。福建省衛生部門は、患者の家族及び診察関係者である8名の密接接触者に対して、既に医学観察措置を実施するとともに、関係部門と協力して患者と同じ航空機に搭乗した密接接触者に対する追跡調査を実施しています。これまでのところ異常な症状はあらわれていないとのことです。
(2)北京市の感染例(中国第9例目)
(ア)患者は男性、46歳の中国籍。本年3月よりカナダのトロントの親族を訪問していましたが、トロント発北京行きのAC031便に搭乗して、5月21日午後4時に北京に到着しました。5月22日19時頃に咳や喉の痛みの症状が現れ、翌23日10時に朝陽病院の発熱外来を受診しています。5月24日には、地壇病院に転院して隔離治療を受けています。
(イ)5月23日、北京市疾病予防コントロールセンターが患者のサンプルを検査したところ結果は新型インフルエンザ(H1N1)ウィルス陽性で、感染疑い例とされていましたが、24日、中国疾病予防コントロールセンターの再検査でも陽性が確認されて確定病例と診断されました。
(ウ)現在患者の病状は穏やかで体温は正常とのことです。北京市衛生部門は患者との密接な接触者5名に対して医学観察を実施していますが、異常な症状はあらわれていないとのことです。
(3)浙江省の感染例(中国第10例目)
(ア) 患者は、男性、20歳、現在ニューヨークの某大学で就学中。患者は、5月21日の1時45分(ニューヨーク時間)にMU588便で帰国し、5月22日の4時30分に上海に到着、更に、同日10時10分に上海を出発(MU5585便)し11時20分に温州に到着しました。
(イ) 5月22日、発熱の自覚症状があり、23日に病院に行き検温したところ38度であったため入院しました。喉の痛みや咳などの呼吸器症状があったとのことです。温州市疾病予防コントロールセンター及び浙江省疾病予防コントロールセンターが検査したところ、結果は新型インフルエンザ(H1N1)ウィルス陽性であったため感染疑い例とされていましたが、25日早朝、中国疾病予防コントロールセンターの再検査でも陽性が確認されて確定病例と診断されました。
(ウ) 患者は、治療後の経過は良好で、現在、衛生部は、同患者の2名の家族及び診察にあたった2名の医師らに医学観察措置を採っています。なお、これまで探し当てた濃厚接触者には、臨床上の異常は見られません。
(4)上海市の感染例(中国第11例目)
(ア) 患者は、男性、30歳、中国国籍で、現在オーストラリアの某大学で働いていました。5月23日の9時55分(メルボルン時間)にCA178便でメルボルンから帰国し、5月23日の18時40分に上海浦東国際空港に到着しました。入国時の検査で、体温が38.8度であったため、空港の検疫職員により浦東新区の感染症病院に移送され、隔離治療となりました。
(イ) 患者が入院時に話したところによると、5月21日午後から鼻水が出て、22日午後には発熱の自覚症状があり、自分で検温したところ39.2度だったので、解熱鎮痛剤を服用したとのことです。5月24日、上海市疾病予防コントロールセンターが検査したところ、結果は新型インフルエンザ(H1N1)ウィルス陽性であったため感染疑い例とされていましたが、25日早朝、中国疾病予防コントロールセンターの再検査でも陽性が確認されて確定病例と診断されました。
(ウ) 患者の治療後の経過は良好です。また、上海市衛生当局は計31名に対して医学観察措置を採っていますが、これまで臨床上の異常は見られません。
2.新型インフルエンザは世界中で感染が拡大しており、中国政府は強力な水際対策を実施していますが、今後、中国でも感染が拡大する可能性が考えられます。今回の新型インフルエンザは弱毒性であり症状も軽いとの見解もありますが、在留邦人の皆様方におかれては引き続き冷静に対応し、中国国内の状況に関する関連の情報に注意するとともに、一層の手洗い、うがいの励行、及び外出時に人混みに入る場合のマスクの着用等の感染防止対策の徹底をお勧めします。
(関連ホームページ)
○厚生労働省ホームページ(新型インフルエンザ対策関連情報)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
○世界保健機関(WHO)ホームページ(新型インフルエンザ関連)
http://www.who.int/csr/disease/swineflu/en/(英語)
○CDC(米国疾病予防対策センター)
http://www.cdc.gov/h1n1flu/(英語)
○農林水産省ホームページ(新型インフルエンザ関連情報)