重慶市における電力供給制限について

2010年2月5日

在重慶日本国総領事館

 

 当館は本年1月中旬に重慶市対外貿易経済委員会及び市電力局に対して電力不足問題解決のための支援を求める口上書を発出しましたが、これに続いて2月3日、瀬野総領事が重慶市対外貿易経済委員会の宋暁国副主任を訪ね、当地日系企業の電力不足に伴う操業問題の解決について改めて重慶市政府の協力を要請しました。同委員会としては、本年初頭に始まった電力不足は解決の方向に向かっており、今夏と年末の電力需要のピーク時に再度電力供給が逼迫する可能性があるが、その場合でも今回のように外資系企業の操業に影響がでることのないように最善の措置をとりたいとのことでした。

 当館では今後とも当地進出日系企業から寄せられた様々なご意見を取りまとめ、改善、解決に向けて関係方面への申し入れ行って参りますので、お困りの問題点等がございましたらご連絡下さい。

  申し入れの概要を次のとりお知らせ致します。

 

(出席者)

先方:宋暁国・重慶市対外貿易経済委員会副主任、高文・同委員会外事処長、楊紫璇・同 委員会外事処副処長、熊川龍・重慶市経済・信息化委員会環境資源総合利用処員

当方:瀬野清水総領事、冨田晃次首席領事

 

(冒頭、瀬野総領事より、重慶市の日系企業は昨年後半の中国経済の回復に伴いフル稼働で操業しているが、本年1月に入って「停三開四」等の重慶市政府の節電・停電措置により生産活動に深刻な影響を来しているとして、電力供給の現状と将来の安定供給の見通しなどについて説明を求めました)

  1. 本年年初の電力不足は極めて例外的であり、重慶が直轄市となって以来初の、最も困難な状況であった。その理由は次の幾つかの要因が同時に重なったためである。

    ① 4機の発電所の発電機の故障

    ② 発電用石炭の不足

    ③ 冬期の気温低下に伴う生活用電力使用量の増大

    ④ 年初にかけての企業の生産稼働の回復

    これにより約100万キロワットの電力が不足することとなり、計画停電を余儀なくされた。

  1. 冬期は水力発電所の水位が低下して発電能力が低下するため(200万キロワットの発電能力が30-40キロワットに低下)、主に火力発電への依存が高まり、その結果全国的な発電用石炭の不足を来した。また、火力発電は環境汚染や二酸化炭素排出規制を受け増設が難しくなっており、重慶地区での主要な電力供給は国家電網公司(「電網」は送・配・変電の意。中国では発電と送電を分離しているため送電を受け持つ会社を電網公司と称しています。)と華中公司重慶市電網公司が市全域の90%を、また3つの地方電網公司が10%を供給している。国家電網公司の供給能力は現在878万キロワットである(うち火力594万キロワット、水力284万キロワット)。渇水期には水力発電は30-40万キロワットに低下するので、貴州、雲南、四川、河南、湖北より買電している。
  1. 黄奇帆市長、童小平副市長も電力不足問題を重視し、重慶市電力公司に指示し、国家電網公司、華東電網公司と調整して外部より60万キロワットの電力を購入した。また重慶の各火力発電所も発電用石炭の確保に努め、政府も鉄道運輸を保障する等の措置を取った。最近の気温の上昇により生活用電力の負荷が低下し、春節を迎えて一部企業及び建設工事が休業する等により、2月以降の電力供給は徐々に正常化している。3、4月には降水量の増加により水力発電は200万キロワットの発電能力を回復して電力需給は均衡する見込みである。
  1. 重慶は石炭が豊富であり、現在、2カ所の火力発電所を奉節、石柱に建設中であり、第2期合川発電所、第4期珞璜発電所の拡張工事も実施中。更に今年末には40万キロワットの水力発電所を建設予定。重慶市発展改革委員会は原子力発電所の開発も検討しているが、これは国家事業として中央政府が決定するものである。従来、重慶は電力需要を少し上回る適度な電力供給規模を確保してきたが、今後は1000万人都市の建設に向けて電力供給の大幅な開発が必要である。因みに、最近の市人代常務委員会会議では、今後10年間に重慶市の電力供給能力を倍増させて、工業・経済発展を促進する方針が打ち出されている。現在、電力不足問題は基本的に解決されているが、本年の夏期と冬期には電力需給の逼迫が予想されるので、政府としても万全の措置を講じて日系企業の操業に影響がないように尽力する所存である。