重慶市における電力供給制限について

                            

2010年12月27日

在重慶日本国総領事館

 

当館は12月上旬に重慶市経済信息化委員会に対して電力不足問題解決のための支援を求める口上書を発出しましたが、これに続いて同月24日、瀬野総領事が同委員会の蔡永生副主任を訪ね、当地の一部日系企業の電力不足に伴う操業問題の解決について改めて重慶市政府の協力を要請しました。同委員会としては、水力発電所の出水量の低下や火力発電所用の石炭不足を原因として一時的に電力需給が逼迫しているが、電力や石炭の購入等の緊急措置により電力不足は解決の方向に向かっており、明年1月以降は改善するとの見方を示すと共に、今後とも外資系企業の操業に影響がでることのないように最善の措置をとりたいとのことでした。

 

当館では今後とも当地進出日系企業から寄せられた様々なご意見を取りまとめ、改善、解決に向けて関係方面への申し入れを行って参りますので、お困りの問題点等がございましたらご連絡ください。

 

ご参考までに申し入れの概要を次のとおりお知らせします。

 

1.(冒頭当方より、当地の一部日系企業より重慶市政府の節電・停電措置によって生産活動に深刻な影響を来しているとの報告があり、当館より貴経済信息化委員会宛に文書にて善処方申し入れた経緯がある。右を受けた貴委員会のご尽力は多とするも、その後も改善が見られないようである旨前置きの上、①仮に、電力不足による停電措置がやむを得ない場合であっても、企業への影響を最小限に止めるため、具体的な節電・停電計画を少なくとも数時間前に関係する企業に対して通告するようお願いしたい、②長期的な電力不足が予想される場合には、企業は製品の納期などの問題を回避するために生産調整を行うことも可能であるので、可能な限り数ヶ月前からの停電計画の通告が望ましい、③こうした電力不足が毎年のように発生することは,重慶市の投資環境にも大きなマイナス要因となることを懸念するので、電力エネルギーの安定供給に向けた今後の取り組みと見通しを承知したい旨申し入れたのに対し、)

 冬期の電力需要の増大のため中国各地で電力が逼迫しており、電力不足は重慶市に限った問題ではない。当地でも現在関係部局にて全力で対応しているが各地域によって状況が若干異なっており一部地域で停電が発生している。今回の電力不足により日系企業の生産に影響が生じたことを申し訳なく思っている。事前の通報なく、突然の停電による損失などの報告も受けており、市政府は本件問題を重視している。23日も市関係部局による本件問題に関する会議が開催されたので、こうした日系企業の問題に対して直ちに緊急措置を講じるよう指示したところである。

 

2.現在の電力不足の主な原因は渇水期による水力発電所の水量の低下と火力発電用石炭の不足である。重慶市の電力供給能力は1200万kw/日以上あり、うち水力発電が約500万kw/日(約45%)であるが、三峡ダムの出水量が通常であれば毎秒3800万立米であるのに対して現在は毎秒1500万立米から1300万立米程度と通常の半分以下となっている。このため、現在、電力を他の省より緊急に購入する(重慶市に必要な電力860万kw/日のうち270万kw/日の電力を購入。うち70万kw/日は三峡ダムの発電所より購入の由)等の具体的な措置が講じられており、電力不足は改善しつつある。27日からはかなり改善し、明年1月1日以降はほぼ正常に戻るものと予測している。もっとも冬期、特に、12月22日の冬至より2月の立春までの1ヶ月半の最も寒い時期において一日の電力需要がピークとなる時間帯(7:00ー8:30及び18:30-20:00)には一部区域で節電・停電措置が避けられないかもしれない。

 

3.重慶市は火力発電用の石炭を四川省、貴州省、山西省等より購入しているが、2ヶ月前に約300万トンあった備蓄が突然減少して一時的に対応が困難な状況となった。現在は近隣省、自治区からの石炭の緊急搬入等により100%以上確保できている。

 今後の長期的な石炭の供給を確保するため先日新彊ウイグル自治区政府との間でエネルギーに関する協定にも署名したところである。また、重慶市から他の省に繋がる6つの鉄道網の整備を行うなど輸送面のインフラ整備を強化すると共に、原油をミャンマーからパイプラインで重慶市まで輸送する計画もあり、いずれも第12次5ヵ年計画の期間中に完成予定である。

 

4.(当方からの質問に対して、)ディーゼルオイルも不足しているが、重慶市には1日20万トンのディーゼルオイルが搬入されており、これは市の需要に対して十分供給できる量である。しかし、重慶市以外の地域からの車両が市内に入って給油しており、これがディーゼルオイル不足の原因の一つとなっている。電力不足が解消されれば、自家発電用のディーゼルオイルの需要も自ずと低下するので、ディーゼルオイルについても年明けには需給の逼迫は解消するものと見ている。

 

 (了)